相続登記の際に遺産分割協議書を作成することはよくあります。遺産分割協議書には実印の押印が必要です。また、遺産整理業務の中で、金融機関に提出する相続届などの書類にも、基本的に相続人全員の実印が必要です。

さて、当事務所が依頼を受けて、私の面前で押印をいただける場合は問題ないのですが、相続人のほうで遺産分割協議書に押印をしていただくときは、押印の方法にも気をつけていただきたいのです。

日常生活のなかで、印鑑を押す場面はそう多くはありません。

宅配便の受け取りのときはシャチハタでも大丈夫ですし。

実印を押すということは、印鑑証明書と照合する必要がある、というのはお分かりかと思います。

問題は、押印が不鮮明なことが多くて、印鑑証明書との照合ができないことがあるのです。

これでは意味がありません。

不鮮明になる原因としてはまず、印鑑の押印面が汚れている、ということがあります。

面が汚れていると、インクがきれいにつきません。

陰影がまだらににじんだようになるのは、これが原因です。

実印を押印するときには、まず、印鑑の押印面をきれいにしましょう。

ただし、ティッシュでごしごしやると、ティッシュのくずが入り込んでしまうので、いらない歯ブラシなどでこすります。

すると、結構ゴミくずが出てきます。

あとは、布でよくこすると、驚くほど陰影がきれいになります。

次に、朱肉、です。

陰影がとても薄かったり、まだらになっていることが多いのですが、印鑑ケースにちょこっとくっついている朱肉は、いまいちです。

また、朱肉が古く、インクが少なくなっていたり、朱肉の表面がゴミだらけになっていると、きれいに押せません。

そして、

押印するときは、できればゴムの下敷きを敷きましょう。

これがあるのとないのでは、全然違います。

１００均でも売っています。

押印するときは、印鑑を「の」の字を描くようにすると、まんべんなく押せますね。

また、押印をミスしたときは、

最初に押印した陰影と重ならないように、すぐ横のスペースに押印しておけば問題ありません。

実印を拝見すると、結構こだわって作っていらっしゃる方も多いです。

立派な黒水牛の実印とか。

せっかく印鑑を押すのですから、押印の仕方もこだわってみてはいかがでしょうか。